留学だより
ピッツバーグ大学
福田信彦先生

2023年9月よりアメリカのペンシルベニア州にあるピッツバーグで研究留学をしております。ピッツバーグはアンドリュー・カーネギーによる鋼鉄業の発展で成長した街で、アイロンシティーとも呼ばれております。天候は北海道の気候と似ており、夏は日本より涼しく、冬は-15度まで気温が下がります。アメリカ内で比較すると、治安は良く、物価も低いため、生活しやすい環境です。
私はピッツバーグ大学のEnvironmental and Occupational Healthという部署に属し、Sally E Wenzel先生の下で気管支喘息の研究をしています。気管支喘息の患者より気管支鏡で得たプライマリーの細胞を気液界面培養し、気管支喘息における細胞分化と細胞死の関連について調べています。2週間に1回、ラボミーティングとSally先生との個人面談があり、常にアドバイスを頂きながら、研究を続けています。アメリカならではの大規模な多施設研究や検体の 数に驚く日々です。英語によるコミュニケーションは1年経った今でも緊張しますが、発音や表現を含めてネイティブに英語を教えてもらえる環境はとてもありがたいです


私は妻と長男と渡米し、アメリカで生まれた長女と4人で暮らしています。異国の地で長期間滞在することは初めての経験で、苦悩の日々ではありますが、その分、自身の人間力や家族との絆が強くなっていると実感しております。ピッツバーグには私と同様に研究留学する日本人医師も多く、家族ぐるみで他大・他科の先生方と交流する機会を得られたことも大変有意義に思っております。また、私の趣味であるテニスやゴルフも無料あるいは格安ででき、アメリカにおけるアウトドアの環境や人々の関心は私には大変魅力的に感じました。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった金子教授、医局OGの角野嘉春先生、医局の先生方に感謝御礼申し上げます。アメリカでしっかりとした成果を挙げられますよう、今後も精進してまいります。
テキサス大学 MDアンダーソンがんセンター
柴田祐司先生
2023年4月から、テキサス州ヒューストンにあるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターで研究をしています。
アメリカの中南部に位置するヒューストンは、公共交通機関が日本ほど発達しておらず、基本的に車社会です。歩行者を見かけることはほぼありません。しかも、夏には亜熱帯の気候が待ち構えており、湿気と戦う日々です。日本で蒸し暑い夏を過ごしてきたので慣れているつもりでしたが、ヒューストンの焼けるような日差しとまとわりつく湿度は別格でした。とはいえ、現地の人々のフレンドリーさや、国際色豊かな美味しい食事が生活を一層楽しいものにしてくれています。


私が勤務するMDアンダーソンがんセンターでは、世界中から最新の治療を求める患者さんが集まり、また優秀な研究者も世界各地から集結しています。私はThoracic Head & Neck Medical Oncology DepartmentのJohn V. Heymach教授のラボに所属しており、ラボの主な研究テーマは肺癌の治療開発、薬剤耐性機序解明、克服の研究です。設備や規模の大きさには圧倒されますが、ここでの研究がすぐに臨床に結びつく可能性が高いので、とてもやりがいを感じます。最先端の臨床現場とコラボレーションできることも大きな魅力です。時として、研究が思うように進まない時もありますが、温かい上司や志の高い同僚とのディスカッションやアドバイスが大きな力になります。
日本にいた時よりも家族との時間が増え、家族もヒューストンでの生活を楽しんでいます。子供たちは毎日現地の学校に通い、放課後はピアノや本場のチアリーディングに挑戦しています。日本の学校に比べ日々の宿題は多く、私はラボから帰ってくると、子供たちの宿題のサポートに追われる毎日です。渡米当初は子供達が泣きながら取り組んでいた宿題ですが、一年経った今は私が発音を直されることもあるほどです。
子供達の学校が休みになる夏や冬には国内旅行も楽しめます。数年前に比べて円安なので、あまり贅沢な旅行ができるわけではありませんが、昨夏には家族でグランドキャニオンを訪れ、その広大な自然と美しさに圧倒されました。子供達も大自然のスケールに感動し、特に朝日が昇る瞬間は忘れられない思い出となっています。
もしお近くにお越しの際はぜひお声かけください。
